第6回全国研修会をさいたま市で開催いたしました。2015.6.28

去る平成27年6月28日(日)13:30~16:00、キリン福祉財団の27年度計画助成事業の一つである一般社団法人日本多胎支援協会第6回全国研修会が、さいたま市浦和区の埼玉会館7階会議室くすのきにて開かれ、遠方の方を含め多くの方々にご参加いただきました。IMG_2128

この研修会では、「子ども・子育て支援新制度がひらく 地域子育て支援拠点、利用者支援の可能性-多胎育児家庭のニーズを例に-」とのテーマのもと、淑徳大学総合福祉学部教授の柏女霊峰先生からのご講演、十文字学園女子大学教授(当協会理事)の布施晴美先生からの事例報告、NPO法人わこう子育てネットワーク代表理事の森田圭子様からの実践報告をいただいたほか、会場の方々を含めた意見交換が行われました。

 

柏女先生は、厚生労働省社会保障審議会児童部会社会的養護専門委員会委員長等でいらっしゃるほか、内閣府子ども・子育て会議委員として、子ども・子育て支援法の制定・施行の検討の中心的なお立場にいらっしゃいます。

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柏女先生からは、子ども・子育て支援新制度の概要のほか、同制度の地域子ども・子育て支援事業の一つであり、多様な保育・教育や地域子ども・子育て支援事業等を円滑に利用できるようコーディネートする「利用者支援事業」(基本型、特定型、母子保健型)について詳しくご説明をいただきました。

このうち地域子育て支援拠点等(市町村直営又は利用者支援事業について市町村から受託)で実施される「基本型」においては、ソーシャルワーク的な手法により当事者性を生かした寄り添い型の相談支援を行っていくこと、行政の窓口等で実施される「特定型」においては、どのような子育て支援サービスがあり、それをどのように利用するのか等の利用支援を中心として行われること、ワンストップ拠点である子育て世代包括支援センター(保健センター等への設置が想定される)等で実施される新たに創設された「母子保健型」においては、フィンランドの「ネウボラ」をモデルに、保健師、助産師等が専門性を生かして妊娠期からの切れ目のない支援を行っていくことが紹介され、今後利用者支援事業の3類型間や他の地域子ども・子育て支援事業等との連携や、民間の制度外福祉活動との協働により、できる限り支援の切れ目が生じないようにしていくことが大切であること等をわかりやすくご説明いただきました。

 

布施先生からは、多胎の妊娠、出産、産後、育児等の各場面における現状とニーズについてお話しいただきました。

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そのいずれの場面についても、単胎の場合とは質の異なる困難さ(情報不足、孤立、自己肯定感の低下、低出生体重児等の配慮の必要な子どもたちなど)があり、それに伴う多胎特有のニーズが多くあるものの、遠慮し、頑張ることは当たり前だと思ってしまい、そのニーズを表現できない多胎育児家庭が多いことなどについて、小児看護学のご専門であり、かつ、双子のお母様というお立場から、わかりやすくご説明いただきました。

 

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森田様からは、和光市における多胎育児家庭支援として、産後の仲間づくり、地域子育て支援拠点の取組みなどのほか、多胎に限らない子育て支援として、「わこう版ネウボラ」による妊娠期からの切れ目のない支援の実施、ボランティアによる家庭訪問型子育て支援であるホームスタートの活動(多胎育児家庭の利用も多いことなど)等についてご紹介いただき、早い時期から先を見越した包括的なアセスメントや、地域に自ら使える官民の多様なサービスが必要であることなどをわかりやすくご説明いただきました。

 

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意見交換においては、アウトリーチの必要性、「いざというときにあそこが」と思ってもらえる関係づくりの重要性、個人情報の共有のあり方等について議論がされたほか、会場からは、「ベビーシッター割引券制度(双生児等多胎児家庭育児支援事業)が使いにくくなったが、例えば多胎家庭については、レスパイトのために、ファミリーサポートの利用を一定時間無料にする等の制度を国として導入できないか。」等の非常に有益なご提案をいただくなど、多胎育児家庭のみならず、それ以外の困難を抱える家庭への支援のあり方を考える際の参考となる大変興味深い議論が行われました。

 

国の後押しでこれから加速する「利用者支援事業」によって、身近な地域子育て支援拠点や各地に創設されるであろう子育て世代包括支援センターは、支援のすきまに陥りやすい多胎育児家庭が、「欲しい支援」と繋がることができる場所になるのではないかと期待しています。多胎育児家庭の実際を地域で活動するたくさんの支援者に知ってもらい、妊娠中から続く高ストレスの育児を応援してほしいと願っています。

なお、この研修会の講演等の内容は、後日当ホームページに期間を限って掲載する予定にしております。

by 君野雅一