ふたご(多胎)の育児情報・知識

BASIC:はじめてのミニ知識

  1. 日本では100人の妊婦さんがいたら、そのうち1人ぐらいは多胎の妊婦さんです(約1%)。
  2. 卵性は、受精した卵子の数のことです。 → 受精卵が1個なら一卵性、2個なら二卵性。
  3. 受精卵が二つに分かれると(原因はわかっていません)、一卵性双生児になります。
  4. 一卵性双生児は全体の0.4%前後で、この割合は国際的にもほぼ一定です。
  5. 二卵性双生児は地域や人種等によって、出生割合が異なります。
  6. 一卵性は同一のDNAを持ち、二卵性は通常の兄弟と同程度のDNA一致度(約50%)になります。
多胎妊娠が分かったときの基礎知識

1)多胎児は低出生体重児(2500g未満)で生まれやすい

単産の8%前後に対し、多胎児は7割程度が低出生体重(LBW)で生まれます。
単産のLBW児より、多胎のLBW児は予後が良好なケースが多いです。
ただし個人差が大きいので、医学上の心得などについては担当の医師の方にご確認ください。

2)絨毛膜と羊膜

多胎妊娠の種別を表します。赤ちゃんを直接包む膜が羊膜。胎盤の一部を構成している、羊膜の外側の膜を絨毛膜と言います。 1絨毛膜なら胎盤が一つ、2絨毛膜なら胎盤が二つです。
一絨毛膜性の双子妊娠の場合、羊膜が二つ(赤ちゃんが個々の膜につつまれている)の場合と、羊膜が一つ(同じ羊膜の中に二人いる)の場合があります。
詳しくは「多胎支援に役立つ図と表」をご覧ください。
(※省略表現 → MM:1絨毛膜1羊膜、MD:1絨毛膜2羊膜、DD:2絨毛膜2羊膜。)

3)絨毛膜と卵性の関係

1絨毛膜性双胎なら、一卵性だと考えて差し支えありません(稀に例外があります)。
2絨毛膜性双胎の場合、一卵性と二卵性の両方の可能性があります。同性の双子の場合、出生前に卵性が判明することはありません(一卵性・二卵性が共にありえます)。

Pregnancy and Birth:妊娠期~授乳期に関わるミニ知識

国民年金保険料の産前産後期間の免除制度で、多胎妊娠特例が付与されました
次世代育成支援の観点から、国民年金第1号被保険者が出産を行った際に、出産前後の一定期間の国民年金保険料が免除される制度が平成31年4月から始まりました。この中で多胎の妊娠期間が短いことが考慮され、単胎妊娠よりも2か月早い時期から免除が受けられるようになっています。

免除を受けるには申請が必要で、出産予定日の6か月前から提出可能です。多胎妊娠中の方や多胎家庭に携わられている方にどうぞお知らせください。

【国民年金保険料が免除される期間】
出産予定日又は出産日が属する月の前月から4か月間(以下「産前産後期間」といいます。)の国民年金保険料が免除されます。
なお、多胎妊娠の場合は、出産予定日又は出産日が属する月の3か月前から6か月間の国民年金保険料が免除されます。
※ 出産とは、妊娠85日(4か月)以上の出産をいいます。(死産、流産、早産された方を含みます。)

詳しくはこちらから → 日本年金機構
ふたごの同時授乳
生後1ヵ月過ぎのふたごを家庭訪問した時、とてもびっくりした事がありました。

それは、大きな病院で出産したのに、入院中も退院時にも、同時授乳について一度も話を聞かなかったとの母親の話を聞いた時です。
その母親は一人の児に対して、一日ミルクを8回、母乳3回。二人でミルク16回、母乳6回、同時授乳しないで育てていました。
朝方4時間、祖母の手助けがあり、継続して4時間弱睡眠は取れていましたが、母親の表情は硬く、左腕が痛むとのことでした。

私が出産した30数年前は、同時授乳の指導など、ほとんどない時代でしたが、今は、同時授乳の指導を入院中または退院時に受けているとばかり思っていましたので、ショックでした。

母親の疲労軽減、睡眠確保、不安感の軽減、ひいては虐待予防の為にも、同時授乳の普及は大切だと思います。
母子健康手帳交付時の保健師の面接指導時、出産病院での助産師、看護師の授乳指導の中に「ふたごの同時授乳方法」をぜひ指導してほしいと思います。

JAMBA理事(保健師)

Parenting:子育てに関するミニ知識

ふたごちゃん達のトイレトレーニング

トイレトレーニングは、イヤイヤ期とも微妙にかぶるのでふたご子育て中のママにとっては、とてもストレスになりますね?少しでも楽にトイレトレーニングが進むように願って私の育児経験や保育士としての経験から助言できる事をお伝えしたいと思います。

ふたご子育ての苦労は、1プラス1は2ではない。
時には、3倍、4倍があたりまえの日々の生活です。
なので、先ず 第1に、トレーニングの開始時期はできるだけ遅くして(2歳後半-3歳ぐらい)トレーニング期間が短期間で終わる事が良いと思います。こども園等に入園されていたら園での様子を聞きながら協力しながら始めたら良いと思います。

第2に、トイレの中の雰囲気作りを。
子ども達が好きなキャラクター等の絵を貼って楽しい場所にしてあげましょう。

第3に、やる気を誘うために、好きなキャラクターのお兄ちゃん・お姉ちゃんパンツを準備したり、頑張ったら好きなシールを貼ったりするのもいいですね。
段階ごとに(トイレに行ける→便座に座る→オシッコをする→オシッコがでたことがわかる等) できたらほめるの繰り返しです。
できた時は、ハグしたり、かっこいいね?とハイタッチしたりして褒めるのもいいかな??と思います。

第4に、子どもに腹筋がついてくるとオシッコがでやすいものです。
なので男の子も最初は自然に腹圧を使える、オマルか補助便座をおすすめしたいです。
また、一緒に遊ばせる中で腹筋をつける事もできます。
クッションやお布団の山をハイハイして上がり下りしたり、その山の上から手を持ってあげてジャンプさせてあげたりします。
ママやパパの立てたひざ下をくぐるトンネル遊びもいいですね。

第5に、焦ってイライラしないこと。
特にトイレトレーニングの最初の頃は、トイレに行っても子ども達は直ぐにオシッコはでないので、しばらく待ってあげてくださいね。
トイレトレーニングに行き詰まったら一旦休む事をお薦めします。
親が焦ってイライラすると子どもたちのやる気もなくなってしまいます。後退することはないかと思います。

最後に、ふたごちゃん達を比べないであげてくださいね?性格も違いますしね?発達も個々に違いますよね。個々の様子を見てゆっくりした気持ちで見守ってあげてください。
後は、ネットや本で紹介されているトイレトレーニングの方法を参考にしながら、ママ友達の経験談も聞き、自分に合うやり方で進めて頂けたらと思います。

JAMBA理事

保育園への入園について

子どもたちの保育園(保育所)への入園(入所)をご検討されている多胎家庭も多いことと思います。
ご存知のように、保育園(保育所)入園選考のために、保育を必要とする状況を点数化する「選考基準」を設けている自治体は多く、それらの自治体では点数の多い家庭から入園許可がおりることになります。この選考基準点(「調整点」など自治体により名称は異なります)において、「(母が)多胎妊娠中」あるいは「(入園する子どもが)多胎児」であることで、加点される自治体があります。

多胎児を保育園に預ける場合には、同年齢枠に2人分(みつごならば3人分)の空きが必要です。これでは、異年齢の兄弟児を複数人預ける場合よりも、入園の確率は下がり不利となります。育児負担や経済的負担の面からも、多胎家庭は保育の支援をより必要とする家庭です。また、多胎妊娠は単胎妊娠よりも安静が必要とされ、上の子の保育が必要となる家庭は少なくないでしょう。このような多胎家庭の状況をきちんと把握して、加点を設定してくれているのはうれしいですね。

住民からの要望で、多胎家庭への加点制度ができたところもあるようです。お住いの自治体はいかがでしょうか。入園選考を担当している行政窓口に確認してみることをお勧めします。

JAMBA理事

ふたごのほめ方・叱り方

ふたごの親御さんからよく質問されることの一つに、<ほめ方>があります。たとえばふたごの片一方が運動会で1番になり、もう一方があまり振るわなかった場合、1番になった子をほめたらいいのか、もう一方を気遣ってほめない方がいいのか、といった質問です。

みなさん、どうでしょうか?もし、ふたごの片一方が何か悪いことをしたら、すぐにその場で叱りませんか?叱るでしょう。
当然です。何かいけないことをしたら、その場で叱ることが大切です。しっかりとそのことを認識させるためです。だったら、ほめる時も同じで良いのではないでしょうか?すぐに叱るように、すぐにほめる!片一方に変に気を遣うより、その場で素直に「おめでとう、がんばったね」と自然にほめてはいかがでしょうか。実は、ふたごの本人たちは、変に気を遣われる方がよっぽど嫌なのです。もちろん、ちょっと悔しいけど、もう一人がほめられるのも嬉しいものなのです。ですから、その場ですぐにほめると、二人ともむしろすっきりして、気持ちも楽になるし、共に喜び合うことができます。ほめながら、家族みんなでその嬉しさを共有できます。

ふたごの育児の中で、ふたご自身が嫌なことに「比べられる」というのがあります。多胎児と単胎児を比べるのも条件が違いますからあまりしない方が良いですし、ふたご同志を比べるのも、ふたりがいるところでは避けた方がいいと思います。特に、叱るときに、「○○ちゃんはちゃんとしているのに、△△ちゃんは何でできないの」と比べられることほど嫌なことはありません。片一方が何かいけないことをした時には、純粋にその子のその行為を叱ればよいのであって、もう一人は関係ないのです。いけないことをした子にしっかりと向き合って、その子をしかるとふたご本人も納得します。ふたごもほめられたり、叱られたりしながら、段々と成長していきます。ふたごたちの成長が楽しみですね。

JAMBA初代代表 志村恵(自分が一卵性双生児)

みつご育て

私は23歳の男2人女1人のみつごの母です。ふたごも珍しがられますが、みつごとなると「初めて見た!本当にいるんだ!」とまるで珍獣のように言われることも少なくありません。

でも、当人たちにとっては、みつごである事が当たり前のこと。小学校低学年の頃、「みつごって、どんな気分?」と聞かれた時、3人とも揃って怪訝な顔をして「普通!」と答えたのには笑いました。娘などは最近「私、もし結婚して生まれた子どもが単胎だったら、どうしよう。育て方がわからない」と言っています。彼女にとっては多胎であることが普通なのです。

親への気持ちも、これと同じことが言えるようです。

多胎のママから「愛情が半分と思っていないか」という心配の声もよく聞きますが、息子たちに聞いてみると「意味わからん」だそうで、心配する必要はなさそうです。それについて娘が高校生の時に多胎サークルの広報紙に書いたものがありますので、最後にご紹介しておきます。

「小さいふたごちゃんを持つママに贈る言葉」

小さいふたごちゃんを持つママが「愛情が半分になっていると子どもが感じてしまっていないか」「手が足りなくて、やってやれないことばかりだった」とか思ってしまっているという話をよく聞きます。でも、それは親だから、私たち子どもを大事に思ってくれているから、そう思えてしまうんだと思います。だから、そう思ってくれる、そのことそのものに子どもである私本人としては充分すぎるほど愛情を感じています。そんなことで不安になる必要は全くありません。

子どもは意外と、親を見ているはずです。大変な思いで自分たちを育ててくれている、自分たちのことを常に思っていてくれていることを子どもはちゃんと気付いています。そんな親を見て、私たち子どもは大切なことをたくさん学んでいけます。

双子や三つ子は、すべての人が経験できるわけではない事をたくさん経験できます。同じ歳のきょうだいがいることは、すごく楽しい、面白いことです。子どもはみんな、多胎児に生まれてよかった、こんな面白い相方と一緒に生まれてきてよかったと思うはずです。私は我が家の頼りないふたりの男の子が大好きだから。

by JAMBA理事&三つ子の母

ふたごを育てながら働くママへ

以前は、「ふたご妊娠で仕事を辞めた」と、よく耳にしましたが、近ごろはふたごを出産しても働くママが増えています。関西のA市で昨年行った調査では、1歳から就学までのふたごのママの就労状況は常勤が33%、非常勤が17%、育児休業中が5%でした。

保育園入園は、特に未満児の産休明け、育休明けに2人一緒の園への入園は厳しいのが現実です。お腹の中から一緒に過ごしてきたふたごが別々に暮らすことが親にとって考えられない上、離れた保育園2か所に送迎に行くことを考えるだけで意欲が減退します。自治体によってふたごの保育園入所への対応が違っているのも現状です。早めに居住地の自治体に相談したり、地域の先輩ママから情報を得てください。送迎時の2人の世話も大変です。ふたご連れは目立つので、職員さんやママ友も気遣ってくれますので、遠慮なく助けていただきましょう。

共働き家庭の朝夕は、慌ただしいものです。パパは一番の戦力です。ふたごだから協力せざるをえません。大いに協力していただきましょう。何をしたら良いかわからないパパと、言わなくても分かってほしいママとのバトルは、どこの御家庭でもよくある風景です。1日の家事・育児タイムスケジュールを、パパと一緒に書き出して、壁に貼ってみては如何でしょうか。

ママが疲れて元気がなくなると、子ども達もパパも辛いものです。お子様のお世話以外の家事は、思い切って手抜きをしても良いと思います。長い人生のうち、お子様が小さい間はほんの短い期間です。ゆっくりと家事に時間をかけることができる時期は必ずやってきます。忙しいときは、他人の手も当てにしてもよいのです。シルバー人材センターや、ママ友、家事代行サービスなどを上手に利用してみましょう。片付いていない自宅に他人に入ってもらうのには勇気がいりますが、慣れも必要です。他人に頼れる力の「受援力」も養いたいものです。そのことで、ママの笑顔が増えれば、家族全員がハッピーです。普段から他人にお世話になっていて、地域につながりを作っておくと、緊急時にも助かります。

育児休暇や育児時間の取得で、職場の方たちに負い目を感じることがあるかも知れませんが、感謝の気持ちを持って焦らず、無理なく、ふたご育児で培った能力(時間管理、リスク管理、コミュニケーション力、忍耐力、持久力)を職場で発揮していただきたいと思います。

頭痛、肩こり、腰痛などの症状に悩まれる方も多いです。ストレッチで体をほぐしたり、ご自身のとっておきのストレス解消法を実行なさってください。長引くようなら、かかりつけ医に御相談ください。

JAMBA理事

双子の習い事

双子の子育てが少し落ち着く3歳、4歳くらいになると習い事を始めるご家庭がでてきます。家庭では教えることが難しいことをプロから教わることで、新しい世界を知り、効果的に学ぶ機会を貰えるからです。

最初は、双子が同時に興味を持ったものや、幼稚園や保育園が提携しているものから選択する方が多いでしょう。無料体験キャンぺーンの利用もおススメです。

同じ習い事のメリットは送迎が1度で済むこと。兄弟割引の利用、二人一緒なので馴染みやすい、一緒に練習できることがあげられます。違う習い事のメリットは、子どもの個性を伸ばすことができること。各自の習い事先で友達ができる、兄弟、姉妹で比較されない、一人が習い事をしている時間に保護者を独占できることがあげられます。

習い事は、必ず必要という訳ではありません。送迎等の親の負担が大きいのも事実です。

子どもの成長に伴い、一人で通うことができる時期もきますし、続けたい習い事を本人が選択するようになります。子どもの気持ちを確認しながら、親も無理をし過ぎずにその子の興味があることを伸ばしていけたらいいですね。

※地域によっては、ファミリー・サポート・センターの送迎サービスや、子ども(キッズ)タクシー等もあります。

JAMBA理事

General:一般的なミニ知識

統計から見る多胎児の比率

多胎児(双子・三つ子等の全ての多胎児)の分娩頻度は、日本ではだいたい1%程度です。そしてこの割合は、時期により変化します。1996-2015年の20年間の場合、5年毎の複産分娩率(全ての多胎の種別での分娩割合)は以下のようになります。

※本ページの数値は人口動態統計の『都道府県別にみた単産―複産(複産の種類)別分娩件数』(出生・死産・不詳を全て含む件数)に基づいた「分娩件数」を使用しています。「分娩件数」は多胎児を出産した母体数です。対して「出生件数」は、多胎児の人数です。

期間 5年間の複産分娩率
1996-2000 0.97 %
2001-2005 1.12 %
2006-2010 1.07 %
2011-2015 0.99 %

多胎児の出生件数が比較的に安定した値となる、この10年間(2008年~2017年)の双子~五つ子(以上)の分娩件数は以下の通りです。

また、多胎児の分娩割合には、いわゆる「ヘリンの法則」と呼ばれる経験則があります。「多胎数をnとすると(双子ならn=2、三つ子ならn=3、etc.)、多胎児が産まれる確率は『89の(n-1)乗分の1』で表される」という、19世紀に提唱された法則です。

ただし、日本で多胎児が生まれてきた割合は、このヘリンの法則とは少し離れた数値が出てきます。政府の人口動態統計(1995-2017)から多胎児の分娩割合を計算すると、以下の表のようになります。

多胎の種別 多胎児の分娩割合
(in JAPAN)
ヘリンの法則による割合
(Hellin’s Law)
ふたご (Twins) 1.007442 % 1.123596 %
(89分の1)
三つ児 (Triplets) 0.021075 %
※双子の約48分の1
0.012625 %
(89の2乗分の1)
四つ児 (Quadruplets) 0.000639 %
※三つ子の約33分の1
0.000142 %
(89の3乗分の1)
五つ児以上 (Quintuplets and more)
※ただし、2002年迄と2008年は「五つ児」表記
0.0000895 %
※四つ子の約7分の1
0.000001593 %
(89の4乗分の1)

1995年~2017年までの各多胎種別の分娩総数を、同期間の全分娩件数で割った値

三つ子以上の分娩割合は、ヘリンの法則と比べると随分と大きな数値です。この原因としては、近年の医療技術の進歩により、多胎児の分娩数が大きくなったこと等が影響していると言われています。

双子の卵性割合

医療技術の発展に伴い、多胎の出生率は上昇してきました。今から100年ほど前の1920年代、多胎分娩率は0.3%を少し超えるぐらいでした(卵性の割合は一卵性で0.2%、二卵性で0.13%前後)。現在は一卵性の分娩率は0.4%ちょっと、二卵性で0.6%ぐらいです。

では、生殖補助医療の技術が発達する以前、多胎の出生率はどれぐらいだったのでしょうか。日本では1968年3月に排卵誘発剤の発売が開始されました。この1968年以前の卵性別ふたご分娩率を見てみましょう。

1960年代の双子分娩率は、だいたいで0.64%。1960年~1967年の期間で、一卵性は0.42%、二卵性が0.22%の分娩率でした。この割合が、生殖補助医療が多胎出生率に影響を与える前の、日本の卵性割合だと考えられています。

注):排卵誘発剤(クロミッド)の日本での販売開始は1968年3月、健康保険の適用開始は1975年です。しかし多胎児出生率が実際に顕著な上昇を示す時期は、体外受精が本格化する1980年代の後半です。

三つ子や四つ子の出生確率について

多胎児の出生確率は、話題として良く聞かれるものの一つです。双子の場合は出生数が比較的に多いため、統計から出生頻度を参照することが可能です。最近の日本の双生児分娩率はだいたいで1%。一卵性双生児の出生確率は世界的に0.4%程度の確率ですから、日本の二卵性双生児の出生確率は0.6%ぐらいになります(ただし、統計では卵性別の出生数を記録していません)。ところが、三つ子や四つ子の出生確率となるとかなりアバウトです。統計的に信頼できる数字を出せないということもありますが、多くの数字は何故かひどく曖昧です。これには幾つかの理由があります。とりあえず2,3の仮定をおき、三つ子と四つ子の出生確率を計算しながら考えてみましょう。まず以下の仮定をおいておきます。

  1. 卵性に関わる受精卵は一定の確率0.6%(近年の二卵性双子出生率)で増える。
  2. 受精卵が分裂する確率は、初回であっても複数回目の分裂であっても0.4%で一定とする。
  3. バニシング等で受精卵が減少する可能性は考えない。

さて、確率計算は場合分け(パターン)を考えることが基本です。三つ子の場合、以下の図のように受精卵の分裂がパターン化されます。黒丸(●)が分裂した受精卵で、白丸(〇)が生まれてくる受精卵です

では、一卵性の三つ子の出生確率を計算します。一卵性の場合、一つの受精卵が二つに分かれた後、どちらか一方がもう一度分裂するため、確率の「場合分け」のパターンが二つあります。確率0.4%で生じる受精卵の分裂(多胚化)が二回でそのパターンは二つと考えるため、一卵性の確率は以下のように計算されます。

一卵性 : 0.004×0.004×2= 0.000032(10万分の3.2)

二卵性の場合は、多排卵により生じた二つの受精卵の一方が多胚化するため、やはりパターンは二つ。三卵性はパターンが一つです。多排卵の確率を0.6%(二卵性双子の出生確率)とすると、それぞれの確率は以下のようになります。

二卵性 : 0.006×0.004×2パターン= 0.000048(10万分の4.8)
三卵性 : 0.006×0.006= 0.000036(10万分の3.6)
卵性を問わない三つ子の出生確率 : 三つの数字の合計 = 1万分の1.16

ここ15年ぐらいの実際の三つ子出生は1万分の1.5ぐらいですから、大きく外れてはいません(でも近くもありません)。どうして数字がズレるのかについては後述するとして、次に四つ子の出生確率を計算してみましょう。四つ子の場合は多胚化のパターンが増えますが、確率計算は基本的に三つ子の場合と同じです。

一卵性 : 0.004×0.004×0.004×5パターン = 0.00000032 (1千万分の3.2)
二卵性 : 0.006×0.004×0.004×5パターン = 0.00000046 (1千万分の4.6)
三卵性 : 0.006×0.006×0.004×3パターン = 0.000000432 (1千万分の4.32)
四卵性 : 0.006×0.006×0.006×1パターン = 0.000000216 (1千万分の2.16)
四つ子 : 0.000001448 = おおよそ100万分の1.5

実際の四つ子出生率(4出生)は、ここ15年ぐらの平均でおおよそ100万分の2.2。三つ子の出生確率でもそうでしたが、計算された数字は外れてもいませんが当たっているとも言いかねる数字です。現実の100万分の2.2の確率になるように多排卵の確率を逆算すると、(3次方程式の虚数解を除く解として)約0.8%になります。日本では自然妊娠による二卵性双生児の確率は0.2%ぐらいですが、生殖補助医療などの影響を考慮すると、これぐらいの数字で良いのかも知れません。

多排卵確率を0.8%に修正した場合、卵性別の四つ子出生率は以下のようになります。

一卵性 : 0.004×0.004×0.004×5パターン = 0.00000032 (1千万分の3.2)
二卵性 : 0.008×0.004×0.004×5パターン = 0.00000064 (1千万分の6.4)
三卵性 : 0.008×0.008×0.004×3パターン = 0.000000768 (1千万分の7.68)
四卵性 : 0.008×0.008×0.008×1パターン = 0.000000512 (1千万分の5.12)
四つ子 : 0.00000224 = おおよそ100万分の2.2

実はこの数字の修正に、多胎児の出生確率が曖昧になる原因があります。確率計算の結果は、なぜ微妙にズレた数字になるのか。実のところ、前提としている仮定で置いた数字(0.6%と0.4%)がおかしいのです。大きく二つの問題があります。

第一に、複数の排卵が生じる確率が分からないのです。遺伝的に多排卵となる体質の方がいることはわかっています。しかし、3個や4個といった数の受精卵が生じることを、独立した確率事象とみなすことができるのか?というと、答えは否です(例えば、2個の排卵が生じる可能性を1%とした場合、3個の排卵が生じる可能性を単純に0.01%と言えるのかというと、ちょっと無理です)。そもそも受精卵自体が多い場合、生殖補助医療等による人為的な原因も介在しています。また短い一定の間隔で排卵が生じている可能性もあれば、一度に複数の排卵が生じている可能性、あるいは全くのランダムという可能性もあります。この確率を一定の数値として計算すること自体がおかしいのです。

第二に、多胚化が生じた受精卵が二度目の多胚化をする場合、一度目と同じ確率で発生すると見なしてよいのか?という問題があります。受精卵が分裂する現象を、独立した確率事象と考えることが妥当なのかどうか。今のところわかっていません。もし多胚化の確率が一定なら、一卵性の六つ子が報告例としてあって良いはずですが、今のところ一卵性の多胎児は五つ子までしか報告がありません。

つまり高次の多胎児の出生確率は、計算に必要となる前提が不確かなため本来は計算すること自体が出来ないのです。

追記(五つ子の場合)

五つ子の場合の確率計算例です。四つ子と同じ多排卵率(0.8%)で計算します。

一卵性 : 0.004×0.004×0.004×0.004×14パターン = 3.58E-09 (10億分の3.58)
二卵性 : 0.008×0.004×0.004×0.004×14パターン = 7.17E-09 (10億分の7.17)
※一卵性の「双子+三つ子」(4パターン)&「1卵性+四つ子」(10パターン)で14パターン
三卵性 : 0.008×0.008×0.004×0.004×9パターン = 9.22E-09 (10億分の9.22)
※一卵性三つ子+2(6パターン)、一卵性双子2組+1(3パターン)の9パターン
四卵性 : 0.008×0.008×0.008×0.004×4パターン = 8.19E-09 (10億分の8.19)
五卵性 : 0.008×0.008×0.008×0.008×1パターン =4.10E-09 (10億分の4.1) 五つ子 : 3.23E-08 (1億分の3.23)

2004年-2017年の五つ子分娩件数は12です。出生率としては8.1E-07(1000万分の8.1)ですから、1億分の3.23と比べると随分とかけ離れた数字です。多排卵率を実際の数字に合わせるように逆算すると、2.63%という数字(虚数と負の解を除く)が出てきます。四つ子の0.8%と比べてもかなり高いレートでなければ、現実の数字と合いません。かといって多胎の次数毎に多排卵率を変更するなら、確率計算そのものが意味をなしません。要するに、確率計算自体ができないのです。

ちなみに、日本の年間分娩件数を100万件と考えた場合(2017年は95.6万件)、一卵性の四つ子は3~4年に一組、一卵性の五つ子は300~400年に一組ぐらいが誕生することになります。世界全体(2017年は約1.4億人)なら一卵性の五つ子が、数年に一組ぐらいのペースで生まれてもおかしくありません。しかし実際に生まれてくるケースは、せいぜい数十年に一組です。高次の多胎では「多胚化の確率」も不明であるという証左です。

一卵性双生児をDNA鑑定で識別することは出来る?

ちょっと前まで、一卵性双生児をDNA鑑定で識別することは出来ませんでした。現場にDNAが残されていた事件でも、双子のどちらなのかが分からないため、犯人を特定できなかったこともあります(2009年にドイツとマレーシアで別々に発生した事例です)。しかし最近は、技術的には二人を識別できるようになりました(但し、かなりの手間暇がかかります)。DNAのメチル化(methylation)に基づく性質の相違や、個人差が生じやすいミトコンドリアDNAの変異率(mutation rates)を利用して調べます(どちらも2015年に論文報告有り)。

Differentiating between monozygotic twins through next-generation mitochondrial genome sequencing.
Differentiating between monozygotic twins through DNA methylation-specific high-resolution melt curve analysis.

ただし、どちらの識別法も試料が少なかったり、メチル化や変異が少ない若年期の場合は識別できないことも生じます。逆に言えば、これほど鑑定技術が進歩した現在であっても、一卵性双生児は科学的に「そっくり」なのです。この「そっくり」さを活用し、同じく「同年齢のきょうだい」が同じ家庭で過ごしている二卵性双生児と統計的な対比を行うことにより、遺伝と環境の影響について調査する手法が双生児統制法となります。一卵性双生児と二卵性双生児にご協力を頂く双生児統制法を用いた研究は、遺伝と環境に関する様々な問題について非常に貴重な知見を社会に提供し、社会厚生の向上につながっています。

ICOMBO(国際多胎支援組織協議会)は、2018年の国際多胎児啓発週間(IMBA2018)のテーマを”Research with Multiples Benefits Everyone”(多胎児に関連する研究は、公共の福祉に寄与します)と設定し、双生児研究の意義を広く知って頂けるように努めています。

多胎関係者の皆さま、今後とも研究・調査活動にどうぞご協力をお願い致します。

JAMBA理事

一卵性双生児は遺伝?偶然?

一般的には、一卵性双生児は遺伝の結果ではありません。世界的に見ておおよそ1000分娩中の4組が一卵性であり、民族・人種等での大きな違いはありません。ここをご覧になっている方にとっては、今更な話かと思います。(一卵性出生率が特に多い国と特に少ない国を取り出せば、それなりの差はあります。しかしこれは分布の問題なので、統計的に有意な差は無いと考えられています。)

しかし正確に言えば、「完全に偶然では無く、例外的に遺伝の影響もある」家系の存在も指摘されています。実際に、「(おそらく)遺伝の結果として一卵性双生児が数世代にわたって高頻度で産まれてくる家系」も報告されています。

この問題でややこしい点は、「一卵性双生児が偶然に連続して生まれてきた家庭」と「遺伝要因で一卵性双生児が連続して生まれてきた家庭」の双方が共に存在し、両者が混在している所です。しかも両者の違いは、学術調査でも「推測」することしか出来ません。

ではまず、偶然に連続して一卵性の子どもが生まれてくる家庭を考えましょう。一卵性双生児の子どもが一卵性双生児となる可能性は、1人につき約0.4%です。でも双子ですから、二人のそれぞれに可能性があります。二人のどちらかに一卵性の子どもが出来れば、「一卵性双生児に一卵性の子ども」いることになります。つまり、その確率は0.4%より高い(0.798…%)のです。また親・祖父・曾祖父と家系をさか登っていくと、どんどん祖先の人数が増えていきます。人数が増える分だけ、遠い祖先や親戚に一卵性双生児がいる可能性は高くなります。直系だけではなく更に傍系の縁者まで含めると、偶然に何世代かに連続して一卵性双生児が生まれてくる家庭は、結構な数で存在することになります。

一方、遺伝的要因で一卵性双生児の出生頻度が高い家系は、通常で考えられているよりは多いかも知れないとの指摘はありますが(familial monozygotic twinning is more common than suggested by the literature )、存在したとしても圧倒的に少数です。さらに遺伝の影響が考えられる家庭であったとしても、「必ず」一卵性となるという訳ではありません。一卵性の出生頻度が少し上昇するだけです。遺伝の可能性が指摘されている学術報告例も、「一卵性の親から生まれてきた何人もの子どもの中に、一卵性の子どもが含まれている」という事例です。またこの出生率の上昇が、一卵性双生児の全体での出生率を左右するほど影響を与えることはありません。ごく限られた地域(ブラジルの一地域など)では、遺伝要因が出生率に影響を与えている可能性も検討されてはいます。でも、やはり世界中を探しても、ごく例外的な存在だろうと考えられています。

つまり一卵性双生児が遺伝要因で連続して誕生する家系も、世の中には存在している可能性が高いです。しかし一般的には、ほぼ偶然の結果と考えても差し支えありません。遺伝なのか偶然なのか?尋ねられた経験がある方も多いかと存じます。そんな時は、「どっちも有り得るみたいですが、うちがどちらなのかは分かりません。」と答えておくと、それで納得して頂けるのではないかと思います。

JAMBA理事

<参考文献>
Four-Generation Pedigree of Monozygotic Female Twins Reveals Genetic Factors in Twinning Process by Whole-Genome Sequencing.
The genetics of twinning: From splitting eggs to breaking paradigms.
Non-identical monozygotic twins, intermediate twin types, zygosity testing, and the non-random nature of monozygotic twinning: a review.
Familial monozygotic twinning: A report of seven pedigrees.
Familial incidence of twinning.
Familial twinning and fertility in Dutch mothers of twins.
Heredity of twinning in families of monozygotic twins. (Article in Italia)

追加
Does Identical Twinning Run in Families?“(The Washington State Twin Registry)

アメリカ合衆国のヒスパニック・黒人・白人の多胎出生率

一卵性多胎児が産まれる確率は、地域や人種による違いはほぼありません。一方、多卵性の多胎児は食生活や人種によって確率が異なると言われています。一般に、黒人種>白人種>黄色人種の順で出生率は大きくなります。しかしながら実は、それほど単純でもないのです。

次のグラフは1990年から2017年までのアメリカの双子出生率です。

※注意:出生率は分娩率(母体の割合)と異なり、生まれてきた子どもの割合です。双子出生率のだいたい半分で双子分娩率になります。


(図1:アメリカ合衆国における人種およびヒスパニック別の双子出生率)
※U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES・CDCのNational Vital Statistics Reportsのデータ群から作成

このデータによれば、僅かに黒人種の双子出生率が上回っています。しかしアメリカに限れば白人種と黒人種の間に、統計的有意差が出るほどの出生率差はありません。ただ、人種ではない区分(ヒスパニック)を区分に含めると、出生率に大きな差が生じます(p<0.001)。ヒスパニックは中南米にアイデンティティのルーツを持つ集団です。ヒスパニックの中では白人種が多数派を占めますが、黒人種のヒスパニックも存在します。

次に、三つ子以上の多胎児(スーパーツインズ)の出生率をグラフで見てみましょう。


(図2:アメリカ合衆国における人種およびヒスパニック別のスーパーツインズ出生率)
※U.S. DEPARTMENT OF HEALTH AND HUMAN SERVICES・CDCのNational Vital Statistics Reportsのデータ群から作成

グラフで示されているように、スーパーツインズの出生率には人種間で大きな差があります。でも、出生率が高いのは白人種の方です。自然妊娠に限れば黒人種の方が多胎出生率が高いことは間違いありません。しかし現実の統計では出生率は逆転しています。

なぜ、そして何時からこんなに差が開いたのでしょうか。別の1971年から1995年までのデータ(ヒスパニックを統計で分けていないデータ)を見ると、1983年頃に白人種のスーパーツインズ出生率は急激に上昇し始めています。

※”Report of Final Natality Statistics, 1995″, Monthly Vital Statistics Report, Vol.45,No.11(S), June 10, 1997, page18から引用

この出生率の上昇は2000年前後にピークを迎えた後、今度は急速に下落していきます。ここに原因が隠れています。何が原因かというと、不妊治療を積極的に受けていたか否かです。幾つかの理由から、白人種の方が積極的に不妊治療を利用していたことが影響しています。

2000年頃から学会の指針により、アメリカでも高次の多胎妊娠を避けるようになりました。ピークの頃は7000人を超えていた三つ子以上の多胎児出生数は、2017年には3917人と4000人を割っています。この2017年には、ずっと白人種が上回っていたスーパーツインズの出生率で初めて黒人種が上回りました(1990年-2016年の間は、ずっと白人種が上回っています)。もうしばらくすると、アメリカでは人種による高次の多胎出生率の大きな差は生じなくなると考えられます。つまり不妊治療という社会的な要因がなければ、人種差はそれほど目立つ要因ではないのです。

(注:双生児出生率についても不妊治療の影響があるため、人種別双生児出生率については逆に差が開く可能性もあります。)

多胎出生率は、確かに人種等で差があります。しかしごく一部の地域的な集積を除けば、社会的要因の方が大きく影響するため、一般に考えられているほど大きな差はありません。

※本ページの図1および図2は公開データを基に作成しています。図1と図2についてはPublic Domainを宣言します。どうぞご自由にご利用ください。

JAMBA理事

多胎児の男女比率

一般に出生男女比は106:100。男性の方が多くなることが知られています。実際、日本の1994-2014年の出生男女比は、人口動態統計(確定数)によれば105.5:100でした。しかし多胎児の男女比では、男児の割合で少し低い数字が出てきます。複産に限った場合、同じ期間での日本の出生男女比は101.5:100です(統計的有意性は極めて高い)。

女性比率がわずかに多いことには変わりないのですが、単胎と比べると男性の割合が低くなります。

JAMBA理事

参考文献紹介:先進国地域の双子分娩率の変化

先進国地域では1980年代から急激に双子が誕生する率が上昇しました。この傾向は2000年代初頭まで続きました。ここ10年は低下傾向にありましたが、1970年代の水準まで戻ったわけではありません。これは不妊治療の影響のみならず、医療技術の進歩により多胎妊娠の継続性などの諸問題が改善されたことも、大きく影響していることを意味します。(その他、出産年齢の上昇も原因の一つですが、これは多胎率の上昇にそれほど大きく影響していません。)

欧州(フランス・オランダ・デンマーク・ギリシャ、イングランド&ウェールズ)やアメリカの双子分娩率の1900年-2013年の変化、およびアジア地域(シンガポール・香港・日本、1970年代以降)の変化についてグラフ化している論文が下記にあります。興味のある方は本文をダンロード(無料)の上、ご覧ください。
※本ページにグラフを転載することは、引用の範囲を明らかに超えるため出来ません。ご了承ください。

Gilles Pison, Christiaan Monden, Jeroen Smits (2019, MAR)

FIGURE 1 Trends in the twinning rate in selected developed countries or territories, 1900–2013
(幾つかの先進国および地域における双子率の経時変化、本文631ページ)

その他の関連文献

Gilles Pison and Agata V. D’Addato, 2006, Frequency of Twin Births in Developed Countries, Twin Research and Human Genetics Vol.9(2), pp.250–259

JAMBA理事

統計から見る多胎妊娠と出産年齢

母親の年齢が高くなれば、多胎出産の割合は上昇すると言われています。1995-2017年の人口動態統計によれば、年齢階層別の複産出生率(全ての多胎の種類別での出生割合)は以下のようになります。

※出生率は多胎児の出生人数を用いており、母体数(分娩件数)で計算した分娩率とは異なります。多胎出生数の多くは双子なので、出生率を2で割れば大体の分娩率(母体数の割合)が分かります。

これは日本に限ったことではなく、欧米においても同様です。

仏英米の年齢階層別の多胎児の出生数(出産1000に対する多胎児の人数)をまとめた、2019年の報告を参照すると、以下のようになっています(Gilles Pison, Christiaan Monden, Jeroen Smits (2019, MAR)の図3より引用)。

FIGURE 3 Trends in twinning rates by age group: France (1901–2011), England and Wales (1938–2011), United States (1949–2011)
(年齢階層別の双子率の経時変化:フランス(1901-2011)・イングランド&ウェールズ(1938–2011)・合衆国 (1949–2011)、本文635ページより引用)

以上のように、出産年齢と多胎出産人数には関係があることが統計からも確認できます。

多胎出生率と都道府県

1969年から2017年の49年間の、日本全体の多胎児出生率(多胎児の人数割合)は約1.5%でした。この数値より高いか低いかで都道府県を色塗りすると、下の日本地図が出てきます。

このうち、統計的に有意(フィッシャーの最小有意差法)な差があると言える県は新潟(有意水準1%)と、群馬・栃木(有意水準5%)の三県です。

※和歌山県は多胎出生率が低めではありますが、統計的に差がある程ではありません。

ただし、もともと日本は国際的にかなり低い多胎出生率です(日本に限らず、東アジア系は多卵性の多胎児出生率が低い)。世界的には極めて均質な出生率であるため、地域別での大きな差はないと考えられます。

FUN TOPIC:小ネタ的ミニ知識

男の子より女の子の双子の方が似てない
容姿はX染色体に関連遺伝子が多く、男の子(XY)より女の子(XX)の方が多様な影響を受けやすくなります。例えば三毛猫の体表の模様は、X染色体不活性による結果です。容姿に影響が出る要因が女の子の方が多くなるため、結果的に似なくなる可能性が上昇します。
異人種の双子
例えば”white black twin”で、”Lucy and Maria”、” Kian and Remee “で検索してみてください。
左利きの割合
双子の左利き割合については幾つもの研究で単胎児より多いと言われています。ただし、各調査結果でばらつきがあり、原因等については現在も調査が行われています。
ミラー・ツイン(Twins with Mirror Image)
鏡像双子。左右逆位の対称的特徴を持つ双子のことです(例えば「右利きと左利き」など)。近年では目に関する疾患などで学術的にミラー・ツインの報告がされるケースが多いです。一卵性双生児の25%ぐらいでミラーがあると触れている報告もありますが、ごく一部の特徴でミラーがあったケースを含むため、割合や何がミラーなのかは明確にはわかりません。
シェークスピアの子どもに双子がいる
長男のHamnet、次女のJudithが双子です。双子の男女が主役となる喜劇・「十二夜」の成立に、少なからず影響があったと言われています。(シェークスピアは「間違いの喜劇」にも二組の双子を登場させています。)
松竹株式会社の創業者は双子
寅さんでお馴染みの松竹。白井次郎さんと大谷次郎さん。双子の兄弟が創業者です。お名前から松竹