TTTS類縁疾患の解説アニメ動画

TTTS類縁疾患の解説アニメ(日本語字幕版)

★本動画の制作にあたっては、独立行政法人福祉医療機構 (WAM)から2020年度助成金の支援を受けました。
 

一絨毛膜性の双胎妊娠では、赤ちゃん達の血管がお母さんの胎盤内で繋がる(吻合)ことが原因で、双胎間輸血症候群(TTTS)を始めとして様々な疾患が生じる可能性があります。
 
程度の軽重があるので、吻合が存在する場合でも、即座にTTTSを発症するわけではありません。そしてまた、吻合の状態によっては、TTTSに類縁した様々な疾患に繋がる可能性もあります。
 
どんな問題があり、どんな対処法があるのか。正しい情報を把握することが重要です。
 
このアニメーション動画では、様々なTTTS類縁疾患について分かりやすい簡単な解説を行っています。現代では、様々な対処法があることをご確認ください。

動画の再生速度に関して

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【 TTTS類縁疾患(TAPS/sIUGR/TAFD/TRAPシークエンス)の解説アニメーション 】

TAPS/sIUGR/TAFDの三つの類縁疾患に、TRAPシークエンス(無心体双胎)の解説を加えた動画です。

TRAPシークエンスの解説アニメでは、生存が不可能な無心体児が描かれています。ご視聴にあたってはご注意ください。

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【 著作権および制作スタッフ 】

●本動画の著作権の全てはJpMBAが保有しています。

●本動画は下記の体制で、国際共同プロジェクトとして制作が実現しました。

・プロデューサー

松葉敬文(JpMBA理事、岐阜聖徳学園大学)
志村 恵(JpMBA副代表理事、金沢大学)

・共同プロデューサー

Anna David
(University College London,Director of EGA Institute for Women’s Health)

・アシスタント・プロデューサー

Stephanie Ernst (TAPS Support Foundation, Netherlands)

・サポート

Twins Trust(英国多胎支援協会)
EGA Institute for Women’s Health,UCL
Gift-Surg

※GIFT-Surg projectはUniversity College Londonが主導する、
外科医療の先端技術開発に取り組む学際総合プロジェクトです。

・日本語訳および日本語字幕

日本語訳:松葉敬文・志村恵

日本語字幕訳:松葉敬文

・日本語版医学監修

谷垣伸治

(杏林大学医学部産科婦人科・教授、総合周産期母子医療センター・センター長)

対訳

※ 対訳はより正しい医学用語を使用した訳文ですが、必ずしも精密な『翻訳』ではありません。日本の医療事情に合わせた訳文となっています。字幕訳はこの対訳をベースに原文趣旨を損なわないようにしつつ、画面表示の都合などにより更に文章の短縮や表現の変更を行った文章です。

 

(frame 1) 双子が一つの胎盤を共有している妊娠は、一絨毛膜性双胎妊娠と呼ばれます 一絨毛膜の場合、胎盤の状態によっては特定の病態になる場合があります。

(frame 2) 双胎間輸血症候群(TTTS)が良く知られていますが、他の病態の可能性もあります。

(frame 3) この動画は、他にどんな病態があり、その診断や治療法はどんなものなのかについて、簡単な解説を行います。

(frame 4) 双胎貧血多血症(TAPS)は稀な病態であり、

(frame 5) その割合は1絨毛膜性双胎妊娠のうち3〜5%程度です。

(frame 6) 胎盤内で双子の血管が繋がることがあります(吻合)。双子の一方の動脈がもう一人の静脈と吻合し、その吻合が非常に細い場合(1mm未満)、赤血球だけが通過します。

(frame 7) 一方通行での赤血球の移動により、双子の一方は赤血球を失い、貧血になります。 そしてもう一人は過剰な赤血球を受け取り、赤血球増加症となります。 多血児の血液は粘り気があります(高粘稠)。

(frame 8) TAPSで生まれると、身体的な特徴が見られることがあります。双子のうち赤血球が過剰な子は真っ赤に、もう一人の子は貧血のため蒼白にみえます。

(frame 9) TTTSのレーザー治療を受ける妊婦は、最大で16%の割合でTAPSを発症する可能性があります。吻合が細いため手術の際に検知できないためです。

(frame 10) 胎児の外見からTAPSを診断することはできないため、胎児の中大脳動脈血流を超音波検査します。 中大脳動脈血流速度が速すぎる場合は、胎児が貧血である可能性があります。

(frame 11) 現時点では、何がTAPSの最適な治療法なのかは分かっていません。 レーザー治療、胎児への輸血、早期分娩の選択などが、提唱されています。 TAPS治療の有効性については今後の検討が待たれます。

(frame 12) 一児発育不全(sFGR、sIUGR)は、一絨毛膜性双胎での児の大きさに影響するものです。

(frame 13) これは双子が共有する胎盤で、それぞれが占有する領域が不均等である場合に生じます。

(frame 14) また、臍帯が胎盤に正常に刺入されていない場合にも発症する可能性があります。

(frame 15) 双子の一方が占有する胎盤の領域が大きいと、もう一人と比べてより多くの栄養と酸素を受け取ります。 こうした状況では、赤ちゃんの成長の早さが異なります。 sFGRは、双子の一方がもう一方よりも大幅に大きい(通常は20%超の差がある)場合に診断されます。

(frame 16) 超音波検査は、双子の赤ちゃんのへその緒の血流など健康状態を丁寧に観察するために利用されます。

(frame 17) 双胎間羊水不均衡(TAFD)は、双胎間輸血症候群の基準には至らないものの、羊水量に違いがある状態です。 しかし羊水量の違いは、TTTSが進行していることを示している可能性があるため、胎児の状態を注意深く監視することが重要です。

(frame 18) また羊水量の不均衡は、早産や早期破水のリスクをわずかに高める可能性があります。 TAFDはまた、赤ちゃん自身に負担をかけ、心臓や腎臓に問題を引き起こす可能性があります。

(frame 19) 羊水量の差が大きく、母親が腹部緊満感などつらさを訴えている場合、羊水を除去(減量)することも選択の一つです。

(frame 20) この羊水除去法は、超音波ガイド下で観察しながら羊水腔に小さな針を穿刺します 羊水過多に伴う母体症状が緩和されるまで、羊水は除去されます。

(frame 21) 最後に、無心体双胎(TRAP)について解説します。

(frame 22a) 稀な状態であり、一絨毛膜性双胎妊娠の約1%で発生します。

(frame 22b;※22aのクローズアップ) TRAPは、双子の一方の心臓が双子の両方に血液を供している状態です。 双子が形作られる、ごく初期の段階で発症します。 双子のうち1人は正常に発育(健常児;ポンプ児)します。 もう1人の双子は正常な発育に至らず、心臓が形成されません(無心体児)。

(frame 23) しかし胎盤に血管が繋がっており、健常児につながっています。

(frame 24) 健常児は無心体児に、血液を直接送り込みます。無心体児も成長を続けますが、塊(人体機能が十分でない胎児)のようになります。この無心体児は可哀そうですが、生存できません。

(frame 25) 健常児が全ての負担を担い、無心体児に胎盤を通して血液を送り込みます。 この負担は、健常児を心不全のリスクに晒します。

(frame 26) TRAPの治療には、ラジオ波焼灼術と呼ばれる手法がある。この手術では、電極針で無心体児の臍帯の血流を局所的に焼灼し、遮断します。 処置後、健常児は出産に最適な時期まで注意深く観察を続けます。

(frame 27) すべての多胎妊娠で、あなたの赤ちゃんは丁寧に見守られます。

(frame 28) 産科のあなたの主治医が、あなたの赤ちゃんがこの動画で紹介した状態の一つかもしれないと懸念を感じた場合、より詳細な診察と治療のため、専門の医療機関を紹介するでしょう。

(frame 29) 双子の一方、もしくは双方の状況が良好ではない場合、早期分娩が選択されることもあります。 この場合、赤ちゃんへの負担がより軽い帝王切開で、分娩が行われます。

(frame 30) もし、妊娠中に気がかりが生じた場合、気になったことを担当の医療専門職にぜひご相談ください。