「第7回全国フォーラム」を開催しました(鹿児島市)

6月26日(日)、鹿児島市立病院・1階多目的ホールにて日本多胎支援協会主催による第7回全国フォーラムが開催され、たくさんの方々にご参加いただきました。会場である鹿児島市立病院は鹿児島市内で多胎児出産を多く取り扱っている病院ということで、入院中の多胎児妊婦さんの姿も見られました。フォーラム会場 - コピー

今回のテーマは「切れ目ない多胎児家庭の支援をめざして~多胎出産の聖地・鹿児島から全国へ~」ということで、初めに、石川県立看護大学教授である大木秀一先生より「多胎児家庭への支援はなぜ必要か」というテーマで基調講演をしていただきました。その後、パネルディスカッションとして医療現場の立場から鹿児島市立病院産婦人科部長の上塘正人先生、上塘先生行政の立場から鹿児島市東部保健センター保健師の尾堂良子さま、子育て支援者の立場から社会福祉法人川上福祉会ふじヶ丘保育園分園くすの子保育園副園長の松下利衣先生、

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当事者の立場からはかごしま多胎ネット代表の西森智子さまより、多胎児家庭への支援の現状と今後どのように支援を目指していくのかという議論が行われました。

NPO法人いしかわ多胎ネットの副理事長でもいらっしゃる大木先生の基調講演では、初めに多胎出産の現状と多胎家庭の現状を全国調査に基づいたデータよりご説明いただき、不妊治療の普及により多胎出産が増えていることや、多胎家庭は社会的・身体的・精神的による育児負担が蓄積し、単胎児の子育てよりも多胎児家庭では3~4割の人に虐待感があったと報告されていることも分かりました。また、多くの多胎家庭では一般家庭より出産病院のスタッフの対応や妊娠中の不安に対しての対応に満足していないことも分かり、妊娠期からのメンタルサポートの必要性を述べられました。次に、地域での多胎児家庭支援について多胎サークルの課題(卒会や資金面など)や行政・専門職の立場からの多胎児育児支援の難しさ(多胎だけ特別扱いできない、対象家庭が多くない、具体的にどのような支援をしたらいいか分からない)について、それぞれの立場からの個別支援ではなく、医療・行政・子育て支援・当事者などの多方面からの組織的な支援によって継続的支援・多様な情報を提供することが可能になり、リスクを分散し、発展的に効果をもたらすことができるとのご指摘をいただきました。

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また、パネルディスカッションでは、まず、医療現場の上塘先生から卵性で胎児の死亡率や神経学的異常の割合が高まり、特に一卵性、一絨毛膜性では双胎間輸血症候群、無心体双胎、臍帯が絡まりやすいなどのリスクが高まるので、妊娠初期の超音波検査で卵性を判断することや、患者の精神的負担を和らげるために臨床心理士とも連携を取り、情報提示に力を入れている体制をご説明いただきました。

行政の現場からは、長年、鹿児島市東部保健センター内にある多胎児サークル「ツインプルマザーズ」の支援に携わっている尾堂保健師さまより鹿児島市では主な多胎児家庭支援として妊娠中・出産期・子育て期の3つの時期に分かれて支援を行い、妊娠中は母子手帳配布時に保健師による個別相談を実施し、それぞれの妊婦さんに応じた支援プランを作成・多胎児サークルの紹介などの情報提供を行うこと、出産期には入院中の多胎児妊婦さんのところへ保健師が面談へ伺い、産後の支援へつなげていくことや、子育て期には、訪問看護、ファミリーサポートなどの情報を提供し、育児相談などを受けているとのお話がありました。

子育て支援者の立場より、親子つどいの広場なかまっちの館長でもいらっしゃる松下先生からは、なかまっち開館時にぐったりして2人の子どもを連れて来ていた双子のお母さんのお話をはじめ、多胎児家庭を知るきっかけとなったなかまっちでの多胎児サークル「ピースプルマム」のご紹介をしていただき、多胎児サークルの支援、JAMBAとの出会いを通してかごしま多胎ネットの立ち上げに協力してきた経緯を説明していただきました。

双子を育てる当事者の立場からは、かごしま多胎ネット代表である西森さまより、自身の双子の妊娠・出産・子育てについての経験を振り返り、助産師ながら多胎に関しては情報も少なく、出来ることも限られたことや、1人じゃない2人いるという感覚など双子を育てる当事者ならではの体験を語ってくださいました。現在、かごしま多胎ネットを多胎児ママたちと立ち上げながら、当事者同士だけでの支援には限界があることや医療や行政との連携することの重要性を述べてくださいました。

今回の全国フォーラムを通して、医療・行政・当事者のそれぞれの立場で個々に多胎児家庭への支援を行っていくのではなく、多胎児家庭に関わる全ての人たちとつながっていくことで、それぞれの専門性を活かしながら多胎児家庭が抱える困難さを少しずつ解消していけるのだと改めて感じることができました。これを機に、多方面からの鹿児島での多胎児家庭への支援の輪が広がることを願っています。

武藤梨織子:かごしま多胎ネット