妊娠・出産期の情報

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    1. 診断と心構え
    2. 準備
    3. 病院でのあれこれ
    4. 帰宅
    5. 三つ子
    6. 祖父母との関係
    7. パートナー(父親)
    8. 同性の親=LGBTの家庭
    9. ひとり親の家庭
    10. 社会資源
    11. 双胎間輸血症候群(TTTS)に関する解説アニメビデオ
1.診断と心構え

双子や三つ子の妊娠を告げられた時、多くのお母さんやご家族の方は驚かれます。まず、びっくりしたという感想ですが、その後、「双子が欲しかったからラッキー」という方もおられれば(少数派ですが)、「双子(三つ子)?どうしよう。育てられるかしら」「双子(三つ子)?お金どうするの」など不安が襲ってくることが多いです。しかし、不安なのだけれど、どうしていいか分からないし、いったい双子(三つ子)が生まれるとどんな生活になるのかほとんど想像がつかない、ということで何が不安なのかが分からなくなってしまうこともあります。特に初産婦さんでは、赤ちゃんのイメージさえ持ちにくいのに、双子・三つ子の妊娠や育児といっても妊娠初期にはピンときません。なので助産師さんに「不安なことはありませんか」と聞かれても、具体的な質問をすることができないのです。
でも、妊娠が進むにつれ、不安や心配事も増してきます。妊娠初期から多胎妊娠に関心を持ち、多胎妊娠や育児を助けてくれる人たちや同じく多胎児を育てている親のグループを探すことが役に立ちます。多胎妊婦さんは孤立しやすいと言われます。妊娠が分かったら、これから先、妊娠生活や育児を支えてくれる人たちとつながっていただければと思います。難しそうに聞こえますが、決してそんなことはありません。行政の保健師さんは、皆さんを支える役割を持った方々です。また医療施設の助産師さんや主治医の先生、子育てひろばや支援センターのスタッフさんなど、自分と家族以外の子育ての支援者も力になってくれます。双子・三つ子の妊娠や育児には思いもかけないことがあります。その時に誰か助けになってもらえる人、助けてと言える人とつながっておきましょう。

2.準備

双子・三つ子を妊娠したときの体への負担は、1人の赤ちゃんの妊娠よりも大きくなり、おなかが大きくなることによる影響も早い時期に出てきます。例えば、双子の場合、妊娠30週前後で、1人の妊娠の臨月相当のおなかになります。そのため、妊婦健診の回数が多くなったり、日常生活でも双子・三つ子であることを意識して過ごしたりする必要があります。家事は、家族などに協力してもらい、手を抜けるところは抜いて、心も体もゆっくりできる時間を意識的に作りましょう。外出は、時間にゆとりのある計画を立て、一つ用事を済ませたら一休みできるよう、休憩場所・時間を確保しておくといいです。
育児でも1人の子の場合と異なる部分がたくさんあります。双子・三つ子ならではの工夫を取り入れた方がいい場合が多いです。妊娠中に、双子・三つ子の育児についての情報をできるだけ探しておいて、育児が始まってから慌てないようにしておくといいでしょう。双子・三つ子は早産で生まれることも多く、妊娠後半に入院したり、自宅安静をうながされたりすることも少なくないため、育児用品の準備は早めにしておくとよいでしょう。妊娠24週(妊娠7か月のはじめ)ごろまでに準備を済ませておくと安心です。

3.病院でのあれこれ

双子・三つ子の妊娠中は、出産の兆候が早い時期に見られてしまうことが多く、また、妊娠による身体的負担が体にさまざまな影響を及ばすことが少なくないため、その治療として入院が必要になります。病院によっては、妊娠後半に安静目的の入院をすることにしているところもあります。
双子・三つ子の出産は、1人の子の出産に比べて母子ともにリスクが高く、より高度な医療を必要とします。そのため、いざというときに対応可能な医療体制の整った病院にかかる必要があります。1人の赤ちゃんの妊娠の場合、お母さんの合併症の有無や産道(骨盤も産道の一部です)の状態など、さまざまな条件により帝王切開かどうかを決めますが、双子の出産の場合、それに加えて赤ちゃん2人の姿勢や体の向きなどの条件が加わり、多くの場合、帝王切開が選ばれます。三つ子の出産は、さらに条件が厳しく、ほぼ全員が帝王切開です。
産後の入院期間は、帝王切開であれば下からの出産(経膣出産)より長くなりますが、双子・三つ子の育児を考慮してさらに長くなるかどうかは病院によります。赤ちゃんの状態によっては引き続き小児科に入院することもあり、産後のお母さんと一緒に過ごせなかったり、一緒に退院できなかったりすることもあります。

4.帰宅

双子・三つ子の多胎出産後のママの退院には、3パターンがあります。①多胎児を病院に残しママが先に退院する。②ママと赤ちゃん1人が一緒に退院し、もう1人の赤ちゃん(低体重児など)が病院に残る。③ママと多胎児みんなが一緒に退院する-です。多胎の妊娠・出産を経験したママの体力は、退院時に十分に回復したとはいえない状態です。②③の場合は、そんな状態で育児が始まりますので、心身の負担は計り知れません。ママを休ませるための支援が必要です。では、①はどうでしょうか。この時期は病院にいる赤ちゃんが心配で、そして母乳を病院に届けるなどで外出が多くなりがちです。周囲に支援してもらい自宅では体を休め、これから始まる多胎育児のために心身の準備に心がけることが大切です。

5.三つ子

三つ子以上の多胎児の子育ては、単胎児はもちろん、双子がいる家庭とも全く様子が違います。私は三つ子の母ですが、最初の1年間は「自分がいつ倒れてもおかしくない」という状況でした。授乳は最低でも24時間で8回×3人=24回。在胎週数も平均で双子より更に4週間ほど短くなるので、小さい体で飲みが悪く、10 回×3人=30 回という時期もありました。また、双子家庭との一番の違いは「夫婦で世話をしても1人余る」ということです。子どもの首や腰が座らない間は夫婦だけでは外出や移動ができません。どこにも出られない時期が長くなります。祖父母や近所の人、会社の同僚などの助けも借りなくてはなりません。圧倒的に手が足りないのが、三つ子を育てる家庭の状況です。出産の前に、外出だけでなく普段の時にも手助けしてくれる人を何人か見つけておきましょう。でも、双子よりも「楽」と思えることもありますよ。

6.祖父母との関係

子どもたちの誕生は親にとっても、祖父母にとっても大変うれしい出来事です。双子・三つ子を育てる親にとって祖父母の協力は大変ありがたいものです。しかし、ほとんどの祖父母は双子・三つ子を育てた経験はありません。そのため、自分が経験した育児と異なる子育てに祖父母は困惑し、愚痴や疲れが積もり、親との関係がギクシャクすることもあります。家族だから手伝ってもらって当たり前ではなく、親のほうから「ありがとう」という言葉を口にしましょう。御礼を言われて、腹を立てる人はいません。感謝は言葉にして伝えることで、相手に届きます。また、子どもたちの誕生前に祖父母の育児経験談を聞き、手伝ってほしい育児について、家族であらかじめ相談しておくと、お互いの愚痴が減るかもしれません。

7.パートナー(父親)

「イクメン」という言葉が広がってきたように、子育ては母親だけでなく父親も担って当たり前という風潮になってきました。双子・三つ子を授かった場合、父親は子育てに関わらざるを得なくなります。子どもたちをお風呂に入れたり、おむつを替えたり、ほ乳瓶をふくませたりと、妻をサポートしていかないと多胎育児は乗り切れないのが実情です。「授乳」以外は父親でもできることばかりです。食事の支度や掃除などの家事を分担するだけでなく、妻が心身ともに休める時間をつくってあげることも心掛けましょう。子たちが少し大きくなれば、外に連れ出したり、遊び相手になったりする間に妻に息抜きをしてもらうことも大切です。育児を頑張りすぎて、自分を追い込みがちな妻に対して、「無理をしなくていい」「手抜きもOK」と、いたわることも必要です。多胎は定期健診に連れて行くのも大変なので、仕事を半日休んで付き添ったり、あるいは一定期間の育児休業を取得したりすることも考えてみてください。子どもたちと一緒に過ごす時間を多く持つことは、後で振り返ればかけがえのない経験になるはずです。

8.同性の親=LGBTQの家庭

どのようなマイノリティな家庭であっても、家族みんなからの愛情を注ぐことで、双子・三つ子は健やかに育ちます。他のご家庭と比較することはありません。そして、たくさんの愛情は子どもたちを満たし、あなたの気持ちも自然と伝わっていることでしょう。現代は性に対して二分する時代ではないにも関わらず、それらに対して「生産性」や「産む機械」などと揶揄されたことも過去にはありました。しかし、「産む」ことだけが母親ではなく、「愛情を持って育てる」ことが父親や母親につながっているのです。従って、誰もが産むだけでは実際の「母親」にはなるわけではありません。今後もグローバリゼーションに伴い、多様な家族が生まれることでしょうし、その家族の幸せは多様にあります。性的なマイノリティと子育てのマイノリティ(=多胎育児)が合わさり、時には困難さが多重に見えることがあるかもしれませんが周囲の支援を受け、孤立せずに地域とともに子育てをしていきましょう。

9.ひとり親の家庭

ひとり親として双子・三つ子を育てることは、様々な事情があるかと思いますが、その決心はきっと子どもたちにも伝わっています。あなたの子どもたちに対する愛情はふたり親と比較するものではなく、あなた自身がたくさん注ぎ込むことで満たされるものになります。しかし、ひとりでは物理的にも心理的にも手が足りない状態が訪れるかもしれません。そのような際は存分に周囲の可能な限りの支援を受けてください。支援を受けることは甘ったれではありません。また、児童扶養手当の申請は自動的に受給できるものではありませんので、お住いの市町村の窓口に申請してださい。母子家庭であっても、父子家庭であっても一定の条件を満たせば受給が可能です。
もしも、離婚が原因でこれからひとり親になるのであれば、養育費の契約は法的拘束力をもつように結んでください。絶対に口約束や念書で終わらせず、「離婚協議書」を結び、なおかつ「公正証書」として約束を交わしてください。また、養育費の契約をせずに既に離婚した場合であっても、協議や調停、裁判により請求することは可能です。いまだ日本には男女の賃金格差があり、母子世帯の約8割が働いている(※1)という状況であっても、約半数の母子世帯が貧困に陥っています(※2)。これは働いても貧しさから抜け出せない、働いても貧困が続くという世界でも稀な現実です。さらには母子世帯の約8割が「生活が苦しい」という調査結果もあります(※3)。本当に苦しい思いをする前には生活保護の申請をためらわず行ってください。
いずれ同時に進学をする双子・三つ子にとって経済的な負担は大きいものとなります。一括でも、分割でも養育費は必ず受け取ることができるように約束してください。また、子育て支援センターや子ども食堂などを活用し、相談できる場所の選択肢をたくさんつくるのも大切です。あなた1人だけではなく、地域と一緒に双子・三つ子を育てていきましょう。
※1 厚生労働省 平成28年度全国ひとり親帯等調査結果報告
※2、3 厚生労働省 平成28年 国民生活基礎調査

10.社会資源

「社会資源」とは、あまり聞きなれない言葉です。ここで言う「社会資源」は日常生活において人々が抱えている様々な問題を解決する法律に基づいた制度・支援などのサービスや、制度に基づかない地域社会のサポートを意味します。多胎育児は両親と祖父母がいても生活が回らず行き詰ってしまうことがあります。祖父母などのサポートが得られにくいご家庭もあります。ひとり親のご家庭もあります。多胎育児は身近な家族だけで完結できるものではないので、最初から家族以外のサポートを見つけておくと心強いです。
「社会資源」として、行政の保健師の訪問(無料)などの保健サービスや比較的低額の育児ヘルパー派遣、ファミリーサポート事業などの育児支援サービスがあります。最近は「産後ケア事業」の制度が整ってきています。産院から退院後、産科医療施設などに数日宿泊できるプランや、地域の助産師さんなどが訪問に来てくれるサービスもあります。かかる費用は自治体によって変わりますが、妊娠中に調べておくといいでしょう。経済的な不安がある場合も利用できる支援があります。これらの公的な支援は、保健センターの保健師さんや子ども家庭課などの福祉課、病院では医療ソーシャルワーカーの方にお聞きするといいと思います。
また、インフォーマルな支援も心強いサポートになります。多胎育児サークルやインターネットでの多胎支援グループもあります。近所の方や友人・知人にお手伝いをお願いすることも選択肢のひとつです。民間団体では、料金がかかりますが、ベビーシッターサービスや家事サービス、生協などの支援グループも利用できます。家族だけで育児しようと思わないで、助けを求めることにためらわないこと、多胎育児では大切なことです。

11.双胎間輸血症候群の解説アニメビデオ

双胎間輸血症候群の解説アニメ(日本語字幕版)

University College London(UCL)が主導する、GIFT-Surgプロジェクトが作成した、TTTSの解説アニメの日本語字幕版です。作成にあたっては、著作権者であるGIFT-SurgおよびUCL、Twins Trust(旧・TAMBA)から許諾を得ており、字幕については日本の多胎医療の専門家の監修も入っています。(GIFT-Surgに完成版のチェックも受けています。)字幕版であるため、医学的意味を損なわないように注意しつつ、翻訳には適宜修正が入っています。正確な表現については、英語全文も掲載していますので、そちらでご確認ください。また、オリジナル版に字幕を付けると速すぎて字幕が読めないため、0.7倍速に変更しています(速度変更についても了承を頂いてます)。