調査の概要は前回のメルマガでご報告したとおりです。今回のアンケートでは、日頃感じていることやこれまでの多胎妊娠中・育児中に感じたことを自由に記載していただきました。予想をはるかに超える記述の分量に圧倒されました。「体験談の読み語りによる支援」の重要性を改めて感じています。各問で比較的多く見られたご意見を抜粋してまとめましたので、ご報告します。一つ一つその意味を読み解いていくと、どのような支援が必要なのかを改めて考えさせられます。
【医療・行政機関から欲しかったサポートや情報】
1.妊娠中からの情報やアドバイス
2.母親が心身ともに休める場所
3.職場や家族に対する周知・理解
4.健診や病院などへの付き添い
5.医療費の補助
【医療・行政機関への希望】
1.多胎用の妊婦(両親)教室・乳幼児健診
2.多胎児家庭用の駐車場
3.インターネットやFAXによる書類受付
4.利用者に配慮した建物の構造
【嫌な思いをしたこと】
1.配慮のない発言・態度(どちらが上?、不妊治療した?、年子の方が楽など)
2.好奇の眼で見られる(母児ともに)
【不安を感じたこと】
1.無事に出産できるか、無事に育てられるか
2.愛情が偏っていないか
3.一人が病気や障がいになった場合
4.多胎育児関する情報不足
【困ったこと】
1.二人を同時に育てる難しさ(同時に泣かれたとき、二人が別々に行動するとき、お風呂の入れ方など)
2.外出が困難、一人が病気になったとき
3.妊娠経過・管理入院・身体的疲労・精神的疲労など
4.他者の協力が得られないとき、得られても多胎育児を知らない場合
【本当に救われた、助かったと思った瞬間】
1.多胎育児の大変さを知っている人からの共感や励まし
(もう少し年齢が上になったら楽になるよ、育児書通りにはできないよなど)
2.多胎育児は選ばれた人たちだけが経験できることだと言われたとき
3.子どもたちの笑顔・寝顔
4.多胎育児サークルとの出会い、サークルの仲間との交流
【多胎育児をしていてよかったと思うこと、嬉しかったこと】
1.いろいろな人から「かわいいね」と声をかけられる
2.二人で仲良く遊んだり、助け合うようになっていくのを見ているとき
3.同時期に二人の子供の成長を楽しめ、個性の違いを発見できる
4.急に家族が増えて家庭が明るくなった
5.同じ苦労をした仲間に数多く出会えた
【育児を楽しいものにする方法】
1.必ず楽になる時が来る。マイナスなことは忘れる
2.「助けられ上手」になって。上手に手を抜くことも大切
3.頑張りすぎない
【これから多胎の妊娠・出産・育児をするご家庭に伝えたいこと】
1.友人が増えた。子どもたちからパワーをもらった。貴重な経験ができる
2.育児の大変さは4倍だけど、成長するにつれて楽しみも幸せもそれ以上になる
3.自分自身も人間的に成長できた。育児で身に付けた精神力が今後も生かされる
これまで、調査研究されることがほとんどなかった、多胎育児ならではの楽しさや喜びについても多くの方がご意見を書いてくださいました。これらのご意見やご感想、経験談は大変貴重なものですので、今後改めてまとめていきたいと思います。
大木秀一 石川県立看護大学健康科学講座
JAMBA News №34 より