2016年7月8日に、北海道旭川市近郊の鷹栖町で、「鷹栖町の双子の育児支援を考える会サロンゆずりは」が、「多胎育児サークルハッピーキッズ旭川支部」の協力により、表題の研修会を開催しました。
鷹栖町は人口数約7,000人の町ですが、保育・教育機関にざっと数えても18組の双子が在籍しています。
今回の研修会には、鷹栖町内外の小中学校の先生や幼稚園・保育園・子育て支援センターの先生・保育士さん、旭川医大の看護学の教授と先生、旭川厚生病院の助産師さん、行政からも鷹栖町教育委員会・保健福祉課職員、保健師、鷹栖町社会福祉協議会という様々な職種と双子の親の総勢51人の参加者が集い、鷹栖社協の西中会長の挨拶に「集う・つながる・作り出す。そこから子育てしやすい町にしていきましょう」の言葉に沿うように研修会が始まりました。
「多胎育児支援が必要な理由――当事者とさまざまな職種の連携――」と題し、石川県立看護大学健康科学講座教授の大木秀一先生が講話して下さいました。
印象深かったのは、
①母親100人のうち一人は多胎の親であり、そのうち98%が双子の親であること、
②双子のうち三分の二が二卵性(兄弟姉妹程度に似ている双子)であること、
③バリアフリーは障がいのある人や弱者が不自由に感じている部分(バリア)を取り除く対応や構造であり、ユニバーサルデザインは最初から誰にとっても優しい対応や構造であること、そして多胎家庭の支援を考えていくことは健康課題のある人たちに対するユニバーサルデザインにつながること、
④当事者と他職種がゆるくつながることが必要で、石川県では多胎ネットが作られ、石川県内のどこにいても妊娠期(母子手帳交付時)から同じサポートを受けることができるように取り組んでいることなど、全国的に共通する多胎の育児のおかれている状況や支援のあり方など知ることができました。
パネルディスカッションは、ひょうご多胎ネットの天羽さんの絶妙な司会で始まりました。
静岡県浜松市の多胎児サークルころころピーナッツの高山ゆき子さんが、当事者からの体験発表「双子の育児体験談、私を救った支援」、支援する立場からの事例報告「連携によって救えた命」について、NPO法人ぎふ多胎ネット理事長の糸井川誠子さん、そして、教育に携わる立場から「保育・養護・教育について、寄り添う親支援、子育て支援は親育ち支援。共感から始まるサークル」を佐賀県佐賀市双子・三つ子サークルグリンピース代表の中村由美子さんが、それぞれパネラーとして提言して下さいました。
フロアから双子の反抗期について「双子の激しい喧嘩に心が痛む。2人同時に見なくてはいけないのにできない中、しっかり社会適応してもらうために小さな頃から叱って育てたと思う」という話がありました。また、小学校や中学校の先生からも「双子がされたくないと思っていることは親や教員から考えることとは違うように思う」など発言が有り、それぞれについてパネラーからの貴重な助言を戴きました。
最後に鷹栖町の谷町長が「双子の育児について当事者の声を聞かないとわからないことが沢山あった。双子の子育てに限らず、SOSを伝える言葉が大事だと思った。そして、自分の信頼できる人が居る、自分の居場所があることがとても重要であると感じた研修会だった」と締めくくって下さいました。
大木先生、天羽さん、糸井川さん、高山さん、中村さん、の貴重なお話が聞けました。
そして、沢山の職種の皆さんが集ってくれた実りある研修会でした。
この繋がりを大事に多胎育児支援の輪を次の段階へと広げて行きたいと思います。
鷹栖町の双子の育児支援を考える会サロンゆずりは 金森聖美