今回の江崎グリコ株式会社との共同発表について、私たち一般社団法人日本多胎支援協会の立場と思いを、改めてここでご報告いたします。私たちは「真に赤ちゃんと家族に必要なのは、適切な情報に基づく授乳支援と子育て全般の支援」と思っています。しかしこれまで多胎支援に向き合い、支援活動に携わってきたなかで、私たちは以下のような思いを抱いています。
多胎を育児されているお母さん方やご家族には、ほとんど母乳育児の支援はなく、母乳育児のプレッシャーと、上手くいかなかったというトラウマを抱えた方が非常に多く、そしてその思いは育児生活において、自己肯定感の低下につながっています。母乳育児支援がほとんどない現状のなかで、授乳の負担は相当なものです。2年前ですが、三つ子の母親が育児に追い詰められ一人を虐待してしまった事件がありました。その家庭は誰の支援もないまま、授乳状況は悲惨で母親は重度の産後うつに陥っていました。私たちが今回の液体ミルクの調査に取り組んだのも、この事件がきっかけの一つです。
多胎育児の負担を軽減できるツールになるのではないか。夜間などの辛い時に使えないか。母乳育児を否定するものではなく、母乳の栄養面免疫面などの優位性を認めたうえで、液体ミルクの利用を手段の一つとして捉えれば、そして育児負担が少しでも軽減されれば、それは支援に繋がります。
私たちは決して液体ミルクが母乳に代わるものとして考えているわけではありません。多胎育児の現状に関心を寄せていただき、支援の実際を考えていただければ、今後の多胎育児支援の質の向上に繋がるものだと考えます。
なお、当協会のフェイスブック・コメント欄でご指摘を頂きましたWHO コードにつきましては、事前に江崎グリコ株式会社および当協会は慎重に検討を重ねた上で、WHO コードに反しないものであると私たちは判断いたしました。また、江崎グリコ株式会社との間に利益相反の問題はありません(研究資金等のやり取りはなく、JpMBAの調査は江崎グリコ株式会社とは独立した調査です)。
多胎家庭に対する支援については、江崎グリコ株式会社が独自で考案されたものです。多胎育児のために何かできることはないかと、今回の支援を考えて下さいました江崎グリコ株式会社に心より感謝いたします。それでは皆さま、どうぞ今後ともよろしくお願いいたします。
一般社団法人日本多胎支援協会 理事会