2019/09/24ご報告:三つ子の次男が亡くなった愛知県豊田市の事件の控訴審判決について

9月24日、名古屋高等裁判所にて、愛知県豊田市の三つ子次男虐待死事件の裁判の控訴審判決があり、控訴棄却(被告の母親に懲役3年6カ月)が言い渡されました。

私ども一般社団法人日本多胎支援協会では、一審の判決の「うつ病になる中、負担が大きい三つ子の育児を懸命に行ったことに同情はできる」と母親の置かれていた精神状態や多胎育児の過酷さを一部認めながらも、「行政の対応について量刑上非難の程度を軽減できるような事情があったとは認められない」という、判決に疑問を感じました。私どもは事件に至った経緯を知る中で、「必要な支援があれば、ご家族が発するSOSのシグナルに気づき、受け止めていただけたなら、このような事態を防ぐことができた。救える命であった。」と考えております。さらに、一審の判決に対して、この痛ましい不幸な傷害致死事件を母親個人のみに帰することにも問題を感じました。事件を受けて設置された豊田市の外部検証委員会が6月にまとめた検証報告書でも、関係機関の認識や連携が不足していたと指摘しております。

私どもはこのことを社会に発信し、多胎育児支援に関わる制度や社会資源等の問題点の十分な検討と減刑を求める嘆願書を作成し、署名を呼びかけました。NPO法人ぎふ多胎ネットをはじめとする日本各地の多胎ネットの方々のご協力を得て、社会に発信しました。最終的には、全国各地から1万3,412筆の署名が集まり、名古屋高裁に提出しました。

しかしながら、このような判決となったことは誠に遺憾です。多胎育児家庭の過酷さをご理解しご支援して下さった皆様のお気持ちに報いることができず、また、司法に多胎育児家庭が日々体験している過酷な現状について理解と共感がされなかった点において、無力感を痛感しております。未来ある大切な命が失われる結果の重大性を招くに至ったのは、支援のすきまに落ちてしまったことによることが明白であり、それについてどのように解釈されたのか疑問が残るところです。

今回の判決はこのような結果となりましたが、今後も私どもができることは、このような多胎育児の過酷さから家庭内に孤立し、うつ的状態となり、痛ましい結果を招くことがないように、育児制度が整い、日本のどこにおいても地域格差がなく、安心して多胎児を産み育てることができる社会となることを望んでおります。私どもはそのための多胎育児支援の充実にむけてより一層の努力を重ねて参ります。

皆様の多胎支援活動へのますますのご支援ご協力と、地域の多胎家庭への温かいサポートを今後もどうぞよろしくお願い致します。