2024/12/05全国フォーラムを栃木県で開催/約120人が参加/「いちご」だけじゃない、「ふたご」「みつご」もよく育つために

日本多胎支援協会は11月17日、栃木県下野市の自治医科大学看護学部で「第14回全国フォーラム」を開催しました。「つなげよう!ひろげよう!ふたご育児支援の輪」がテーマで、全国各地から約120人が参加。講演やパネルディスカッションを通して、行政支援の事例やピアサポートの大切さなどを学びました。

NPO法人とちぎ多胎ネットが昨年発足したこともあり、栃木県で初開催となりました。開会にあたり、栃木県の北村一郎副知事、下野市の坂村哲也市長にご来席いただき、ごあいさつをいただきました。

講演はまず動画で、こども家庭庁母子保健課生殖補助医療係長の臼井麗さんが、国のこども施策の動向などを説明しました。こども虐待死に関する検証の積み重ねを踏まえ、留意すべきリスクとして「多胎児を含む複数人のこどもがいるなど、養育に負担がある」「多胎児のきょうだい間で体重増加等の発育及び発達等に差異がある」などを例示。妊産婦の孤立感を解消するために、多胎ピアサポートなどによる支援を事業化していることを紹介しました。

続いて医療創生大学看護学部特任教授で当協会の太田ひろみ理事が「多胎支援の必要性とピアサポートの効果」として講演。赤ちゃんの同時泣きや母親の睡眠不足、外出困難など、多胎育児特有の困難さをあげ、多胎に特化した妊娠期の情報提供と保健指導、身体的負担や育児不安の軽減といった支援の必要性を訴えました。望まれる支援として、ピアサポーターを活用した病院訪問や家庭訪問などを紹介。支援事業の地域格差がある点が課題だとし、都道府県が複数市町村をまとめて支援策を講じることに期待を寄せました。

パネルディスカッションでは、栃木市こども家庭センターの保健師、黒臼友子さん、玉田郁佳さん、が市の取り組みを発表。多胎児家庭へのニーズ調査を実施した上で、2021年度からツインズサポートを開始し、出産準備教室や産後ピア家庭訪問、多胎育児家庭交流会など、さまざまなメニューを用意しているということです。当事者の要望を受けて、交流会を日曜にも開催するなど「進化と深化」を実践し、「楽しかったと感じてもらえるような内容にしたい」と語りました。
NPO法人とちぎ多胎ネット理事長の南部裕子さんは「ピアサポーターを活用した切れ目のないサポートが虐待防止へとつながる」と話し、栃木県名産の「いちご」にかけて、「ふたご、みつごもよく育つ栃木県と言われるように頑張っていきたい」と締めくくりました。この後、会場の参加者を交え、ピアサポートの効果や工夫などについて話し合いました。

最後に、助成元のSBI子ども希望財団の加賀屋慶之事務局長から「これからも全国で支援のネットワークを広げていってほしい」とエールをいただきました。

フォーラムの後は、とちぎ多胎ネットの主催でランチ交流会もあり、各地から集まった参加者たちが親交を深めました。

次回、来年の全国フォーラムは福井県で開催する予定です。