3月3日は双胎間貧血多血症(TAPS)の症状について、最初に明示的に名付けてその詳細を取り扱った論文がオンラインで公表された日です。オンラインで公刊されてから、15年になります。
TAPSは、2006年にオランダのE.Lopriore らによって、その発生機序が明らかにされました。
https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/16516289/
胎盤内で双子の胎児同士の血管が吻合(胎児同士の血管が繋がること)する点は、双胎間輸血症候群(TTTS)と同じです。しかしTAPSは、一方の動脈が他方の静脈に繋がり(AV吻合)、血液の流れが一方通行で固定されています。また繋がっている血管が非常に細く、1mm未満であることも特徴となります。吻合している血管が非常に細いため、赤血球のみが双子の一方のみに移動し、結果としてそれぞれの胎児に、貧血と多血の症状が表れます。
診断条件はTTTSと異なります。胎児の大きさや外観からTAPSと診断することは難しく、現在のところ胎児の脳内の血流を超音波検査することで診断を行うことが一般的です。TAPS支援財団は、一絨毛膜性双胎妊娠の全ての多胎家庭がTAPSの検査を受けることを推奨しています。