2014年11月16日から19日までハンガリーのブダペストで開催された国際双生児研究会議(ISTS)に参加し、ISTSのワーキンググループであるICOMBO(国際多胎支援組織協議会)の総会に出席したのでその概要をご紹介します。
なお、ISTSとICOMBOの関係は『Council of Multiple Birth Organizations(COMBO)の総会に出席して』 https://www.ishikawa-nu.ac.jp/pdf/kenkyu/08_15.pdf に詳しく書いてあります。
会期中に3回ほどICOMBOの独立の集会(各90分)が開かれました。
集会の内容は、ICOMBOメンバー(各国の多胎支援組織)の活動紹介、ビジネスミーティング、研究成果の報告でした。
現在の組織会員は16です。
予算は収支がおよそ2年間で50万円程度です(ISTSは隔年開催なので会計もそれに合わせて2年ごとになります)。
支出の多くはWebサイトの維持とISTSへの会費に使われていますから、それほど大規模な活動ではありません。
次期2年間の戦略プランは以下の通りです。
目的1:「多胎児の権利の宣言とニーズの声明」に詳しく書かれている原則を推進する。
目的2:多胎支援組織が情報資源を共有し、発展できるような仕組みを提供する。
目的3:多胎児の成長、ケア、教育に関するプロジェクトと研究を推進・実施する。
目的4:Twin Research & Human Genetics(ISTSの公式学会誌)およびICOMBOの電子-ニュースレターを通じてISTSにおける研究プロジェクトの情報と結果を普及させる。
目的5: 世界中の多胎支援組織がICOMBO に参加できるように推進する。
また、ICOMBOメンバー間で電子文書を共有することに関して話し合われました。
共有する情報項目・資源としては、
①健康な妊娠期の過ごし方
②双胎間輸血症候群
③育児の準備
④死別へのサポート
⑤母乳育児
⑥新生児期のケア
⑦1歳(乳児)の育児
⑧2歳~4歳の育児
⑨異性ふたごの育児
⑩遊戯
⑪クラス分け
⑫統計情報
⑬ニュジーランド多胎支援協会が出した多胎未熟児についての冊子
⑭北欧の多胎育児ガイドブックなどが候補として挙げられました。
次に、今後各国のどのような情報を知りたいかについて話し合われ、子宮内発育遅延、特別なニーズ、三つ子以上、一人育児、乳児の栄養法、思春期の多胎児、各国の統計情報、三つ子以上に対する医療の進歩、が候補に挙がりました。この中から選ばれたのが「一人育児」でした。一人育児(Solo parenting)とは、シングルマザーなど片親育児のことだけではなく、仕事などでパートナーが殆ど家庭にいないような状況での育児も含みます。
この他に印象に残ったのは、フィンランドの組織が、特別なニーズのもとにできた他の育児組織(不妊治療による児、子との死別、離婚、障がいのある児など)と共同で助成金を申請し獲得したことです。
このような連携も有効だと思いました。
日本からの参加は自分だけでしたが、やはり込み入った話になると言語の壁は如何ともし難いという印象です。しかし、文書での情報を共有するだけでも十分に加盟する価値はあるでしょう。
by 大木秀一
「ICOMBO:国際多胎支援組織協議会」のHP
https://icombo.org/
ICOMBOが加盟している 「ISTS:国際双生児学会」のHP
https://www.twinstudies.org/