このアンケート調査は、大木が代表をしている「いしかわ多胎ネット」(2012年2月にNPO法人となりました)で、独立行政法人福祉医療機構「長寿・子育て・障害者基金」助成事業の2009年度特別助成金を受け、多胎育児支援の充実と普及啓発活動事業の一環として実施しました。全国各地域の多胎育児サークルの代表者の方にご協力を頂き、各サークルの会員の皆様にアンケートを配付してもらい、返信は個々人で大木宛に投函してもらいました。2010年1月から2011年4月までに、2,401部を配付し、956人からご回答を頂きました(回収率40%)。
アンケート調査票別に「乳幼児群(0歳~6歳の未就学者)」「小学生~高校生群(6歳~18歳の就学者)」「高校卒業以上群(18歳以上)」の3つのグループに分けて分析しました。また、このアンケート調査は、主として多胎育児に関する行政資料や研究データになることを目的として実施しています。そこで、一般家庭に対して過去に行われた、厚生労働省(21世紀出生児縦断調査)や日本小児保健協会(幼児健康度調査)の大規模調査と比較するために、同じ質問項目を含んでいます。3グループでの年代別の比較だけでなく、大規模調査(単胎児)との比較を行うことで多胎育児の特徴を捉えることができると思います。分析結果の一部は既に学会で報告しています。
今回のアンケートには「医療・行政機関から欲しかったサポートや情報」「多胎児家庭となって困難や不安を感じたこと」「多胎育児をしていて良かったと思うこと、嬉しかったこと」などの自由記述の質問もあり、多くの方が日頃感じていることやこれまでの多胎妊娠中・育児中に感じたことや経験談を書いてくださいました。
2013年2月に分析結果を報告書としてまとめました。アンケート調査は無記名で行われたため原則として個人的に報告書をお送りすることはしていませんが、ご協力頂いた各サークルの代表者等に送付いたしました。各サークルを通じて多くの方にこの報告書をお読み頂ければと思います。なお、NPO法人いしかわ多胎ネットのホームページにてPDF版を公開しておりますので、そちらもご利用ください(https://ishikawa-tatai.net/book/)。
現在もご協力頂けるサークルや個人の方にはアンケート用紙をお送りし、データ収集を継続しています。また、収集されたデータには、まだまだ分析可能な情報がたくさんあります。今後もこのデータを有効に活用し、研究を進めていきたいと思います。
大木秀一 石川県立看護大学健康科学講座
JAMBA News №33 より