ふたご・みつごの妊娠・出産・子育てと子ども自身のために

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令和8年熊本地震により被災された皆様に、心よりお見舞い申し上げます。突然の災害により日常の暮らしを失い、不安な日々を過ごされている皆様に、一日も早く安心できる生活が戻ることを心から願っています。

20年ほど前ですが、地震の揺れを再現する起震車に乗り、震度7の揺れを体験したことがあります。独身の頃に同様の施設で体験したときはただ「怖い」と感じただけでしたが、小学校低学年の子と幼児のふたごを育てていた私は、同じ震度7でも恐怖の意味が違いました。「もし、自分一人で子どもたちといるときに、この揺れが起きたら」と考えると、安全が約束された起震車の中でさえ涙が出るほど怖かったのです。立っていられないだけでなく、たった数メートルでも子どもが離れていたら、助けにいくことさえできないと痛感しました。

それからは、災害が今ここで起きたら、その場でどうすれば自分と子どもたちの身の安全を守れるのか、と想像するようになりました。食事のしたく中、階段にいるとき、園への送迎中、買い物中……。その瞬間どうやって子どもたちを守るのか、どのルートなら外に出られるのか。まずは、歩けるようになった子どもたちにはそれぞれ小さなリュックを背負わせ、オムツと携帯用おしりふきを入れて頭や体を守れるようにしてみました。それでも、答えが見つからない場面もありました。

次に考えるようになったのが、「どうやって逃げるか」です。避難所は近くの中学校と認識していましたが、子どもが幼い多胎家庭では、避難そのものが大きな負担になります。車はおろか、ベビーカーが使える道路状況かどうかも分かりません。余震もあります。避難所でも、二人が同時に泣く、交互に泣く、おんぶとだっこでは大人も身動きがとれないなど、多胎家庭ならではの困難があります。さらに、オムツやミルク、離乳食も一人分ではありません。怖さに泣く子どもたちを抱えて荷物まではとても持てませんし、子どもの成長に合ったサイズのオムツや、アレルギーなど個別の事情に対応したミルク・離乳食となれば、さらに入手しにくくなります。そこで、普段使っているものを少し多めに備え、3日分を車や玄関に、家の中の頑丈な場所に1週間分くらいを置いておくようになりました。

もう一つ大切だと思ったのは、「誰かに『助けて』と言えるか」です。遠くの家族だけでなく、普段からわが家や子どもたちを知っている近所の方、それから、地域の助産所の助産師など、顔の見える関係が支えになることがあります。「ふたご・みつごが家族にいて避難の心配がある」ということを普段から伝えておけば、いざというときに相談したり専門職の知恵を借りたりできる安心にもつながるのではないでしょうか。

災害は日常の暮らしの中で突然起こり、外出先など備えが手元にない場所で遭遇することもあります。多胎家庭の防災に、これだけ準備すれば大丈夫という答えはありません。子育てで精一杯の毎日だからこそ、暮らしのすきまで「もし今ここで災害に遭ったら」と想像してみる。その小さな想像が、確かな備えや守る力となっていくように思います。子どもたちが大人になったわが家も、別々の場所にいることが多くなって避難方法や必要なものが変化してきたので、まだまだ想像力と防災が必要と感じています。

ぎふ多胎ネット顧問
岐阜協立大学看護学部
緒方 京