巻頭言より
本報告書は、厚生労働省平成29 年度子ども・子育て支援推進調査研究事業の公募において、調査研究課題「多胎育児家庭の虐待リスクと家庭訪問型支援の効果等に関する調査研究」について採択され、その成果について報告するものです。
多胎育児家庭は、妊娠期からハイリスク妊婦としてケアをされておりますが、妊娠中のリスクにばかり視点がおかれ、出産後の具体的なイメージがないまま多胎育児が始まることが多いのが実情です。母親は体力の回復も不十分な状態で多胎児の育児に臨み、困難感、疲労感、睡眠不足等が増す一方の中で、2人以上の乳児を抱え外出することもままならない状況に陥り地域社会からも孤立する傾向にあります。そうした育児に対する困難感が積み重なる状況の中で、多胎育児家庭の虐待死も単胎育児家庭と比べて2.5~4.0 倍と指摘されています。
子育てのリスクが明らかである多胎育児家庭においては、妊娠期・育児期早期からの介入は虐待の未然防止の観点からもその効果は高いと考えます。本研究はこうした背景のもと、多胎育児家庭の虐待未然防止に焦点を当て、多胎育児家庭の現状の課題とニーズを明らかにし、多胎育児家庭の虐待リスク軽減の支援に寄与する訪問型支援の具体的な方法と効果を検討し、多くの地域で実現可能な家庭訪問型支援のバリエーションを提示することを目的に研究に着手致しました。
本報告書はボリュームの多いものですが、関心のあるテーマからお読みいただいてもわかるように構成した報告書となっております。参考にしていただければと思います。